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技術士口答試験 [資格・お勉強]

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※今期の技術士口頭試験期間(~2014年1月末)以降に本エントリー
を掲載しております。守秘義務により、今季受験シーズンが
終わるまで口頭試験内容を公開できない事由に拠ります。
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本日、技術士口頭試験を受験してきました。一次試験を含めると3年間
以上に渡る技術士受験の最後のステージです。この口頭試験の20分間で
全ての勝負が決まってしまいます。気合を入れて頑張らなくては。

受験場所は渋谷の「フォーラム8」…貸会議スペースですね。念には
念を入れて1時間前に到着。自由に使える控室(大部屋)があるのですが、
受験を前にピリピリした人達ばかりが居ます。先輩技術士の方から
あらかじめ「受験者が面接を待つ控室がヤバい。…雰囲気に飲まれる。」
と教わっていたため、早々に退散しました。その先輩技術士の方の必勝
パターンにあやかり、ビル前のケンタッキーで軽食を食べながら最後の
追い込みを行います。

いよいよ時間が来ました。もう腹を括って臨むしかありません。

以下に今回の口頭試験レポートを纏めておきます。もし合格できたら、
これから技術士を目指す人の参考になるかと思います。もし不合格
だったら、来年の受験の作戦立てのための参考になるわけですが。。。


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■電気電子部門 科目:電子応用 専門:高周波

受験部屋の扉の前に座って待っていると、前の受験者が出てきました。
その後2分ほどして、試験官が自ら扉を開けて紹じ入れて下さいました。
受験予定時刻ぴったりの定刻でした。

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試験官A:50代と思われる。おそらく民間の技術屋。優しそう。進行役。
試験官B:50代と思われる。おそらく学者。気難しそう。無口、合いの手役。
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A:(椅子を指差して)そこに荷物をお置き下さい。

A:受験番号とお名前をお願いします。

私:0403B00XX ○○●●です。よろしくお願いします。
  (さあ、いよいよ始まるぞ。。。)

A:お掛け下さい。

私:はい。ありがとうございます。

A:それでは、○○さんの業務経歴と、業務詳細を5分程度でご説明下さい。

私:はい。業務経歴ですが、私はXXXX年に■■株式会社に入社し、最初は
  家庭用コードレス電話の親機・子機間の高周波回路設計に携わりました。
  先輩社員の下に付いて、高周波回路設計の基礎を身に付けました。

  (中略)

  現在は、弊社◇◇製品カテゴリにおける、地上デジタル受信機能と
  GPS受信機能の設計責任者として、業務に当たっております。
  業務経歴は以上になります。

  続きまして業務詳細です。私は、2005年当時、翌年の本放送開始に
  合わせ、ワンセグ受信モジュールの設計、並びに△△製品へのモジュール
  搭載の業務に、設計責任者として携わりました。良好な受信感度を確保
  するという課題がありました。

  (中略)

  以上の課題解決の成果により、良好なワンセグ受信感度を持つ製品を
  商品化しました。以って、ワンセグという公共サービスの質の向上に
  寄与できたと考えております。業務詳細は以上になります。


A:業務詳細について質問させていただきます。ワンセグの受信感度の
  指向性とは、要するにアンテナ放射パターンということですよね?

私:はい。その通りです。実測でも放射パターンとほぼ同一の受信感度
  パターンが得られました。

A:△△製品のワンセグアンテナの指向性を決定する要素は何でしょうか?

私:アンテナエレメントと、筐体のメカ構造です。両者が合わさって
  一体となりアンテナを形成しています。

A:ワンセグの受信感度出しに苦労されたとのことですが、ダイバーシティ
  アンテナは採用しなかったのですか?

私:いえ、業務詳細には記載しなかったのですが、ダイバーシティアンテナに
  対応しておりました。しかしながらサブアンテナは筐体内蔵型で利得が
  稼げなかったため、ほとんどサブ側には切り替わりませんでした。

A:切り替え…ですか?(首をかしげて)

私:(あ、もっと突っ込んだ内容を期待している?)
  ダイバーシティの方式には「切り替え方式」と「重ね合わせ」方式が
  ありますが、当時採用したTunerモジュールの復調チップが重ね合わせ
  方式に対応していませんでしたため、アンテナ切り替え方式のみを
  採用しておりました。

A:なるほど。もし重ね合わせを採用していれば、受信感度自体が改善して
  いましたよね?

私:はい。それだけでも3dBの受信感度改善量が見込まれます。

A:なるほど。よくわかりました。

A:あなたのチームは何人でこの業務に当たっていましたか?

私:私を入れて4名です。RF担当&取り纏め役の私、アンテナ担当、
  ASIC担当、ソフトウェア開発担当となります。

A:ASIC担当…ですか?

私:ワンセグモジュールから出力されるトランスポートストリーム
  データを本体に渡す時に、暗号化する必要がありました。
  この暗号化チップをASICの形で自社内で開発しました。

A:電波暗室への測定システムの構築はどのような感じだったでしょうか?
  特にコストがかなり掛かったのではないでしょうか?

私:電波暗室は弊社内で既に所持していたものを使用しました。
  システム構築は外部の業者には出さず、全て私自身が作りましたので、
  実質XXXXX円も掛かりませんでした。新規購入機材の試験信号発生器、
  Wi-Fiのルーター、制御用パソコン…程度の費用です。

A:それは、会社にとっては大分助かったのでしょうね。

A:最後に公共サービスの質の向上に寄与した…と書かれていますが、
  ワンセグ放送で公共サービスとは、どのような意図で書かれていますか?

私:主に緊急放送の受信…という観点を意識して設計しましたので、受信感度
  改善が公衆の安全に寄与できた…という意味で書かせていただきました。
  先の東日本大震災でも、通信インフラがトラフィック増加でダウンした時にも、
  放送を受信するだけのワンセグはそのようなことが起こらず、緊急情報を
  受信できて助かった方が大勢いらっしゃったと聞きました。今でもこの
  考え方は間違っていないと信じて設計業務に当たっております。

A:(大きくうなずいて)なるほど。確かにその考え方は本当に大切ですね。
  よくわかりました。

A:それでは今回の技術士の受験動機をお伺いします。

私:現在私は企業内技術者として業務に当たっておりますが、近い将来独立
  したいと考えております。子供たちや若者に科学技術の楽しさを教える
  ような仕事をしたいと考えております。そのためには日本の科学技術で
  最高峰の資格である技術士を取得してその業務に当たりたいと考えました。

A:それは素晴らしいですね。具体的な計画はありますか?

私:具体的な計画はこれから立てるところです。どのような切り口で
  そのような仕事に就くかは、今後の課題と考えております。

(ここで試験官Bにバトンタッチ)

B:技術者倫理の重要性が高まっています。昔から重要であるはずなのに、
  何故最近になって重要性が高まってきているのだと思いますか?

私:最近になって、技術の肥大化、複雑化が加速しているからだと
  思います。利便をもたらす技術ですが、扱いを誤ると災いも与えることに
  なり、近年は災いの規模も増加しています。従いまして、技術を扱う者には
  昔以上に高度な倫理観が求められます。

B:あなたの技術分野…無線ですね…では、公衆に災いをもたらすような事例はありますか?

私:(あ、何も思い浮かばない…どうしよう。。。)えーと、私は消費電力が
  少ない製品ばかりを扱っていますので、即、災いと呼べるようなことは
  ありませんが…。(あ、思い付いた!) 送信機において、送信する電波が
  人体の健康に悪影響を与える可能性があります。人体被爆SARですね。
  もちろん法的な基準はありますが、これをクリアしたからと言って安全という
  証拠は今のところありませんので、可能な限り低減するように設計する
  必要があります。
  
B:なるほど。それでは、あなた自身が設計において倫理で実践していることは何ですか?

私:公益確保の観点で、環境の保全を意識して業務に当たっています。
  少しでも消費電力が少なくなるような回路設計に努めています。
  削減量は微々たる物ですが、製品の出荷台数が多かったり、お客様が
  ご使用になられる時間が長かったりしますので、トータルでかなりの
  電力量になるものと考えます。この削減により低炭素社会に貢献できる…と
  意識して設計業務に当たっています。

B:なるほど。それでは会社組織として実践している倫理は?

私:同じく環境の保全の観点でガイドラインを持っており、それを社員に実践
  するよう指示があります。例えば、製品カテゴリごとに消費電力を
  ここまで落とさなければならない…とか、環境破壊物質の不使用などです。
  ガイドラインは設けられていますが、これは最低限度の基準ですので、
  技術者は可能な限りの高いレベルで設計を行なわなければなりません。

B:よくわかりました。ところであなたの会社で技術士はどのように
  扱われていますでしょうか?

私:残念ながら会社の中では技術士の知名度は低く、技術士になっても報酬が上がる
  ような制度は無く、会社としても技術士の取得を推奨するようなことはありません。

B:あなたの会社で技術士になっても、あなたには何のメリットも無いと?

私:いえ、社内で技術士を取得している者は居りますので、そのコミュニティに
  参加できることにより、情報共有やお互いに研鑽ができるようになりますので、
  それは私にとっては最大のインセンティブになり得ると考えております。

(ここで試験官Aにバトンタッチ)

A:会社の規模が大きいようですが、無線に関して他の部署も交えた
  横串的な集まりはあるのですか?

私:大きな括りでの無線の集まり…というものはございません。
  しかしながら、例えば 3G, Wi-Fi, Bluetooth など、各無線要素技術
  ごとに集まりがあります。

A:あなたもその会議体に参加されているのですか?

私:私はGPSの集まりに参加して、情報交換に努めております。
 (あ、ちょっと誇張。本当は有識者と交流があるだけだけど。
  まあ嘘ではないので良しとしておきますか。。。)

A:(試験官Bの方を向いて)それでは宜しいでしょうかね?

B:(頷いて)はい、大丈夫です。

A:はい。それでは口答試験を終わりにしたいと思います。お疲れ様でした。

私:はい。ありがとうございました。よろしくお願い致します。

A:技術士になれたら、日本の若者の技術離れを阻止するよう、尽力して下さいね。

私:はい。頑張ります。ありがとうございました。


終了時、20分ぴったりでした。
気になる点としては、

・筆記論文答案からの試問が全く無し。
・3義務2責務など、技術士制度を問う試問が全く無し。

となります。

本日の口頭試験を以て、全てが終わりました。
あとは祈るのみです。合否発表は3/3(月)となります。

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