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深名線ノスタルジー20年 (第三回:廃線探訪1日目) [サイクリング]

・深名線廃線探訪サイクリング軌跡
全域.jpg

・1日目の軌跡
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廃線探訪における準備段階で、一番重要なものは何だろう。。。
やはり、どこに線路が敷かれ、駅、トンネル、橋梁などの主要な
施設がどこにあったかを明らかにしておくこと…と考えます。
廃止されて暫く経った現在において、当時の施設がどこにあった
かを知らなければ、遺構の調査になりません。

短い準備期間で、出来る限りの資料を集めました。K分君が
図書館で古い5万分の一地形図の複写を得てきて下さいました。
深名線現役当時のものですので、線路の記載があります。この
情報を基に、現在の2万5千分の一地形図に線路の軌跡を転記し、
主要な遺構のポイントを記入しました。また、国土地理院のHP
で当時の航空写真を閲覧し、各駅が道路に対してどのような取り
付き方で存在したか…などを記入しつつ、同時に頭に入れる作業
を行いました。

他にも調べておきたい事項が沢山あったのですが、結局のところ
上記作業だけで手一杯になってしまい、気が付くと旅行当日を
迎えてしまいました。なかなかままなりませんね。

起床時刻4:50。前日の退勤時刻が遅く、旅行準備などに手間取っ
て1:00頃の就寝でしたため、ほぼ仮眠状態です。猛烈に眠いです
が、早朝よりテンションは高いです。本日、いよいよ念願の
深名線廃線跡を探訪するのですから。

糀谷発5:39の京急線内で同行のK分君と落ち合い、羽田空港へ。
K分君も前日遅かったようで、眠そうです。6:45の飛行機は
定刻通り飛び、8:25に旭川空港に到着しました。空港の外に
出た時の最初の印象は「寒い」…でした。東京と違って、
旭川はもう冬に差し掛かっています。

・朝早い便ですが、沢山の搭乗客が居ました。
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・旭川空港前の気温は6.9℃。少々肌寒いです。
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まずはタクシーに乗り、深名線の起点である深川まで行きま
した。今回は2人とも自転車は「BD-1」を使用します。いつもの
例であれば、鉄道絡みのサイクリングは「トレンクル」を使用
するわけですが、今回は持ち時間と走行距離の都合上、走れる
自転車を使用する必要があり、BD-1で行くことにしました。僕は
飛行機の機内預けでしたが、K分君はあらかじめクロネコヤマト
の深川営業所留めでBD-1を発送しています。タクシーでクロネコ
深川営業所まで行き、ここで自転車の受け取りをしました。
営業所の前を使わせてもらい、2人で自転車の組み立て・調整を
しました。K分君は比較的新しいBD-1、僕は10年以上前の旧型の
BD-1です。

・BD-1の組み立て・整備中。
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・旧型/新型と並んだBD-1の車体。
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10:15にサイクリングスタート。風がやや強いですが、空には雲が
ほとんど無く、よく晴れています。明日以降で天気が崩れる予報
が出ていますが、まずは本日晴れている幸運に感謝しつつ自転車
を走らせます。

まずは深名線の起点に向かいます。国道233号線を北上し、石狩川
を渡ってほどなく【深川駅】に到着しました。深川駅では昼食用
に駅弁「お楽しみ幕の内弁当」と深川名物の「ウロコダンゴ」を
購入しました。同国道の跨線橋で函館本線を越えて駅北側に渡り、
数百メートル東に進んだ先に、深名線分岐箇所が見えました。
北上開始です。

・【深川駅】前にて。
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・奥に深名線分岐箇所が見えました。右手が函館本線です。
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形の良い里山である丸山を左手に見つつ、道道875号線で北上し
ます。ほどなく右手前方に斜めに分岐する道が現れ、その道を
降りると【円山駅】跡に到着です。遺構はありませんが、土地の
雰囲気からここが駅前であったことが推察できます。

・【円山駅】跡。遺構無しでも、それっぽい雰囲気です。
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道道に復帰し、更に北上します。秋の里風景と青い空のコント
ラストが素晴らしいです。…が、いきなり最初の峠越えです。
K分君も僕も最近は運動不足で、序盤にいきなり足が上がらなく
なってきています。僕の所持していた地形図が古く、新道が
トンネルで打ち抜かれていましたので、峠より大文低い位置で
越えることができ、正直助かりました。

・正に秋のサイクリング日和です。
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気持ち良く下り、東西に延びる道道98号線とT時交差します。
ここから西に少し進むと、【上多度志駅】跡に到着です。駅遺構
はありませんでしたが、農業倉庫などがあり、駅前の雰囲気を
残しています。

・【上多度志駅】跡。奥が深川方面、手前が名寄方面。
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更に道道を西に進みます。左手に深名線の路盤が並走する形で
見えています。ほどなく深名線はカーブで右折して行きます。
市街地に差し掛かり、僕達も交差点で右折し、少々進んだ先に
【多度志駅】跡がありました。ここにも遺構はありませんでした
が、駅構内の広々とした空間があり、駅前旅館等も建っており、
ある程度規模の大きい駅だったことが偲ばれます。

・【多度志駅】跡。駅前の広々とした空間がありました。
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・多度志駅から深川方の線路跡を臨む。
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この先も深名線は右折カーブを描き、遂には進路を東に採り
ます。僕達も並走する国道275号線で、深名線を追います。
左側に深名線の路盤とその奥に雨竜側を見ながら、国道275号
線を走ります。平坦な道を暫く走ると、右手に公民館のような
建物が見え、左手に民家が見える箇所に差し掛かりました。
【宇摩駅】跡となります。遺構は残されていませんでした。

・【宇摩駅】跡、深川方を臨む。
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・宇摩駅跡で、振り返って名寄方を臨む。
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この先、雨竜川に沿って進路が直角に北に変わります。雨竜川
の流れの方向の変化具合が忙しいです。川岸にちょっとした峠
があり、記念保護樹木と称して、イチイの木がありました。
…が、2人とも体力的に必死過ぎてあまりじっくり見ていられ
ません。

・国道左手にある、高橋峠イチイ(記念保護樹木)
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峠を越え、爽快に下った先が【幌成駅】跡です。幌成駅自体の
遺構は皆無で、駅前通りだったであろう道路は、今では深名線を
突き抜けてその先の道路まで接続されてしまっています。当時、
待合室として緩急車が使用されていましたが、その緩急車は
至近にある建設会社の敷地内に移設されていました。かなりの
年季物となっています。

・【幌成駅】跡。駅前通りは駅向こうまで突き抜けていました。
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・建設会社の敷地内に置かれた緩急車。
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・怖いくらいの年季モノになっています。。。
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更に北上し、すぐに【下幌成駅】跡に到達します。舗装道路を
横切る形でダート道があるだけで、そこに駅があった痕跡は
何もありません。

・【下幌成駅】跡。綺麗サッパリ何も無し。。。
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・雨竜川が国道に接近する箇所。
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雨竜川に沿って道道を北上します。やがて大きめの市街地に
差し掛かりました。駅前通りと思われる道を右手に折れると、
そこが【鷹泊駅】跡です。広々とした土地とともに、真正面に
駅舎が建っていました。廃駅情緒満点です。

・【鷹泊駅】駅舎。うわー、、、これは良いなぁ。。。
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・駅舎正面入口。
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・駅舎裏側。プラットホームの遺構が残されていました。
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駅舎の裏側に回ると、プラットホームも残されていました。
現役時代の訪問当時の記憶が思い出され、懐かしさがこみ上げ
てきました。当時、既に駅舎は古かったわけですが、現在は
更に老朽化が進み、今にも崩壊しそうな箇所も見受けられま
した。この先、あまり長くない印象を受けました。

・1995年の現役当時の駅舎の写真
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・現在の駅舎の写真。駅名標が無くなっていますね。
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・何と、当時の駅名標が深名線資料館内に保存されていました!
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近場にある「リフレッシュプラザ鷹泊」に立ち寄りました。地元
の人のためのコミュニティセンター的施設です。深名線資料館が
併設されており、当時の貴重な物品や資料が展示されていました。
ここで鷹泊駅の駅名標に出合えるとは、感激の至りでした。

・深名線に関連した、貴重な物品と資料の数々。
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・閉校となった小学校正門柱が残されていました。
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・校舎がそのまま使われているようでした。
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リフレッシュプラザ鷹泊の庭で昼食。風がやや強く寒いですが、
のどかな風景を見ながら屋外で食べるお弁当は美味しかったです。
リフレッシュプラザ鷹泊は、廃校となった小学校を利用した施設
とのことです。その裏寂しい背景も手伝い、一層の旅情が感じ
られました。

・今朝深川駅で購入した「おたのしみ幕の内弁当」
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・品数多く、堅実に美味しい幕の内でした。好感度大。
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2人とも自転車の整備を少々行ってから出発。本日一番の難所、
幌加内峠に差し掛かるためです。この先はだらだらとした上り
勾配が続きます。2人ともペダルを踏む足が重く、なかなか速度
が上がりません。どんどん疲労が蓄積していきます。

・幌加内が射程距離に入ってきました。
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・新しい幌加内トンネル。
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僕の持ってきた地形図では、標高270m程度まで上がって峠を
越えることになっていましたが、何と新道ができており、標高
200m程度の場所でトンネルで抜けるようになっていました。
不幸中の幸い! 1.2kmの幌加内トンネルで向こう側に抜け、
あとは一気に下ります。幌加内ダムを左手に見ながら、爽快に
転がり下ります。

・トンネルを抜けると、そこは幌加内。極寒-41.2℃の表示が
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・峠道を軽快に転がり落ちるK分君。
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・国道左手に深名線の線路跡が並走していました。
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国道から分岐する道を入り、少し逸れた場所に【沼牛駅】があり
ました。この駅には駅舎が残されていました。駅前から駅舎を
臨むと、いまにも列車が来そうな雰囲気が漂っています。

・【沼牛駅】。今でも現役かのように見えてしまいます。
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・沼牛駅駅舎正面入口。
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今年の7月18日、深名線廃止20年記念として「おかえり沼牛駅」
というイベントが開催されています。駅舎は清掃や補修により
状態が良くなっているようです。でも今は駅には僕達2人以外に
は誰も居らず、夕方の光線も手伝って物哀しい雰囲気に包まれて
います。

・プラットホームもよく維持されていました。
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・沼牛駅でサイクリングの記念撮影。
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少々走り、次の駅【新成生】駅跡に来ました。道路の交差点至近
に駅があったはずですが、当時の交差点と現在の交差点で道路の
取り付き角度が変わっており、駅の遺構は全く残っていません
でした。近くにJRバス深名線のバス停があり、同駅名の停留所名
でした。

・この草ボーボーの辺りにあったであろう【新成生】駅跡。
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4kmほど走り、比較的大きな街に差し掛かりました。深名線の
沿線最大の市街、幌加内です。駅跡に行く前に、幌加内交流
プラザに立ち寄りました。ここには深名線資料展示室が併設され
ており、当時の物品や資料が展示されていました。幌加内駅の
当時の写真や駅スタンプの現物など、懐かしいものが沢山展示
されていました。

・幌加内交流プラザ。併設のお蕎麦屋さんは既に閉店とのこと。
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・深名線資料展示室。貴重な資料や物品が多数ありました。
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・幌加内~深川間で使用されていたタブレット閉塞装置
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・これは、、、朱鞠内~名寄間の票券閉塞装置…ですね。
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その後【幌加内駅】跡に到着しました。駅跡は見通しの良い広大
な土地になっており、線路と記念碑が置かれていました。ここに
幌加内駅があったことを示す証拠なのですが、新しく取って
作った記念物のようで、僕的にはちょっと興醒めなところがあり
ました。線路の施設方位も、当時の深名線と違った方向である点も
気になりました。

・【幌加内駅】跡に作られたモニュメント。
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時刻は16:15。そろそろ薄暗くなってきました。本日の宿泊地は
政和温泉です。まだもう少し走らなければなりません。巻きを
入れて行かなければ! あ、足が痛い。。。

・国道沿線から見えた蕎麦調製工場。さすが幌加内!
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国道を3kmほど走り、横道に逸れた場所に【上幌加内駅】跡が
ありました。道路で仕切られた三角形地帯の中に駅の遺構が
ありました。簡易のプラットホームの骨組み、そして何故か
上幌加内の停車場接近標識、そして当時のレールが遺されて
いました。当時のレールを今でも残す箇所は、深名線全線に
おいて、ここ上幌加内だけなんですって。これは貴重だぁ。

・小さな乗降所跡の【上幌加内駅】跡。
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更に国道を北上します。暗さが増し、綺麗な月明かりが見えて
きました。何とか、本日もうひと駅だけ踏査したいところです。
地形が険しくなってきました。K分君も僕も、上り坂で足が
上がらなくなっていますが、体に鞭打ってペダルを踏みます。

国道を少し逸れ、【雨煙別駅(臨時駅)】跡に到達しました。
辛うじて未だ明るいうちに来ることができました。遺構は
何も残っていませんが、農業倉庫の存在により、そこが駅前で
あった雰囲気が残っていました。

・【雨煙別駅】へと続く駅前通り。駅前の雰囲気が残ります。
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・雨煙別駅跡から深川方を臨む。
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辺りがすっかり暗くなりました。本日の調査はここまでです。
僕達の進む国道は、ほとんど車が通りません。快適に走れる
一方で、何だか心細い怖さが感じられました。暗い中、5kmほど
進むと、本日の宿泊地「せいわ温泉ルオント」の明かりが見え
てきました。至近にある第3雨竜川橋梁の遺構や成和温泉駅
跡は、明日朝の踏査とします。無事にチェックイン。本日の
踏査スケジュールをほぼこなすことができ、良かったです。

・綺麗な月が空に浮かんでいます。明るさを増してきました。
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・せいわ温泉ルオントの建物・北欧風デザイン。
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せいわ温泉ルオントのログキャビンに宿泊します。山小屋風の
コテージのような設備です。本日の宿泊客は僕達だけのよう
でした。早速温泉に入りました。露天風呂には濃度の濃い源泉
がかけ流されており、本日の旅の疲れが癒されるようです。
風呂上りに、併設のレストランで本日の打ち上げと夕食。名物
の幌加内そばを食べることができました。美味しかったです。
K分君は正統派に盛り蕎麦を注文しましたが、僕は亜流にも
オリジナルメニューの「塩豚つけそば」を注文しました。

・まずはビールで乾杯しつつ、それに合いそうな肴を。
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・幌加内名物の蕎麦。コシと香りがあって美味。
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・夕食を食べながら、明日の深名線踏査の打ち合わせも。。。
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明日の朝は早出です。レストランの店員に明日の朝食をどこで
調達したら良いか相談したところ、朱鞠内まで行ったとしても
朝から食べ物を調達できる場所は無い…との回答でした。
で、親切にもおにぎり弁当を作って持たせて下さいました。
人情が心に沁みます。

ログキャビンに戻って就寝…なのですが、まずは室内に侵入して
いるカメムシの捕獲から(爆)。周囲でカメムシが大量発生して
おり、それを詫びる貼り紙がルオントの入口に貼られていました。
店員に聞いたところ、最近は毎年収穫の終わったこの時期に大量
発生しているとのことです。うーむ自然が近いのですねぇ。

初日の走行距離は65kmでした。

(2日目につづく)
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